ご社宝めぐり

杉並区
天沼八幡神社
頭山満「國體明徴」石碑
 同社鳥居脇に建立されている石碑。中央に「國體明徴」、向かって左脇に「頭山満」と刻まれている。
 この碑は昭和14年建立であるが、元になった「國體明徴」の扁額は、昭和初期、頭山が天沼のさる貴人宅を訪問した折、同社を参拝し揮毫したと伝えられている。
 頭山満(とうやまみつる)(1855〜1944)は、戦前日本にて無位無官でありながら強大な影響力をもった人物。中国革命家の孫文、インド独立運動家のラス・ビハリ・ボース、朝鮮開化派の金玉均(きんぎょくきん)らを支援し、国際的に活躍した。
 頭山がその「総帥」と称された玄洋社は、「皇室を敬戴すべし」「本国を愛重すべし」「人民の権利を固守すべし」の三ヶ条を根本におく組織で、福岡県の自由民権運動団体として発足。日本のアジア主義・民族主義の源流ともされる。
 頭山門下生は多数にのぼり、神社新報主筆であった葦津珍彦(あしづうずひこ)は、「頭山翁に対する私の感激は、生涯を通じてもっとも強烈」「私は、来世にあっても、頭山門下生であろう」と記し、『大アジア主義と頭山満』などの著作を遺している。
天沼八幡神社について
 天正年間(1573~92)、武勇の守護神として天沼村に勧請されたと伝えられる。天沼村は、日枝神社(千代田区)社領であった関係で境内末社に日枝神社がある。明治40年に四面道の厳島神社を合祀。昭和2年には、村社となる。昭和52年に鉄筋コンクリート造の社殿が竣工した。
【鎮座地】東京都杉並区天沼2-18-5