ご社宝めぐり

葛飾区
冨士神社
区指定有形民俗文化財
板絵着色 富士講図絵馬額
 この絵馬は、当時の「丸か講」(富士講)の「お焚き上げ」の行事を具象的に現しており、当時の富士信仰の様相を窺うことができる。左半面に富士塚、右半面に拝殿が描かれ、拝殿でお焚き上げの行事をする富士講の信者の姿が緑白色の雲形の中に浮かび出した形で描かれている。
 画面右端に「鈴木埜恩田安衛藤原光国筆㊞」、左端に「恩田生鈴木埜藤原光国筆㊞」の落款印章があり、左側に「明治十九年戌十月十二日納当邨氏子中」の奉納墨書がある。富士塚及び拝殿が完成した明治12年(1879)から7年後に氏子が奉納し、現在に至る。葛飾区指定有形民俗文化財。
(葛飾区郷土と天文の博物館かつしかデジタルミュージアム参照)
冨士神社について
 冨士神社は木花耶姫命を祭神として正慶元年(1332)に創建されたと伝えられ、江戸時代には旧飯塚村の鎮守だったといわれる。明治5年(1872)村社に列格。社地は中川の左岸に沿い、富士塚上に本殿の小石祠があり、築山の南東麓に拝殿がある。毎年7月1日に例祭が行われる。(葛飾区教育委員会 葛飾区神社調査報告参照)
【鎮座地】東京都葛飾区南水元2-1-1
(令和元年8月寄稿)