この世に生きる全てのものは、天地の恵みによって生かされ、神々のご守護によって生活を営んでいます。
すなわち、お伊勢さまの「天の恵み」と、氏神さまの「地の恵み」とがあたかも車の両輪のごとくにひとつとなって、より尊いご神威があらわれ、より一層のご守護をいただけるのです。
それゆえ、お伊勢さまと氏神さまのお神札をおまつりして、私たちは国の隆昌と家庭の幸せをお祈りするのです。
お伊勢さまのお神札は神宮大麻(じんぐうたいま)といい、伊勢神宮において丁重に奉製され、各地の氏神さまを通じ、神職や総代が皆さまの家庭にお配りしています。
天の恵み
お伊勢さまのお神札
伊勢神宮は、三重県伊勢市鎮座の皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮/ないくう)と豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮/げくう)を中心に、近在の百二十五のお社から成ります。
皇大神宮は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまをおまつりし、「日本人の心のふるさと」と親しまれております。皇室のご先祖の神さまであり、また私たち国民の総氏神さまでもあります。
その広大無辺のご神徳は太陽にたとえられ、「天の恵み」と仰がれます。
地の恵み
氏神さまのお神札
氏神さまは、日本全国津々浦々に地域住民の心のよりどころとしておまつりされています。
都会にあっては諸産業を、農村にあっては農業を守護し、漁港にあっては大漁をもたらすなど、その土地に暮す全ての人々(氏子/うじこ)と、その生活をお守りくださる、最も身近な神さまです。
親が我が子を慈しむような、大地が五穀を育むようなそのご神徳は、「地の恵み」と称(たた)えられます。
お正月を迎えるにあたり、お伊勢さまと氏神さまのお神札を新しいものに取り換えます。
これは、より新しいお力、より新しい生命をいただくという意味があり、日本の伝統、先祖伝来の美しい風習です。現在神棚がないご家庭や事業所は、この機会に神棚をおまつりになってはいかがでしょうか。
神棚のないご家庭では、タンスや本棚の上をきれいにして、そこに宮形(みやがた)(お社)を置くのもよいでしょう。また、壁掛けにもできる小型の宮形もあります。
神前には、米・塩・水などの他に季節の初物、お土産なども感謝の気持ちをこめてお供えし、拝礼しましょう。
お神札のまつり方
三社造りの場合
三社造りの場合は、中央に神宮大麻、向かって右に氏神さま、左に崇敬している神社のお神札の順がよいでしょう。
一社造りの場合
一社造りの場合は、一番手前に神宮大麻、次に氏神さま、その後ろに崇敬している神社のお神札の順がよいでしょう。
お神札と神棚 よくあるご質問
すべてのものが改まるお正月を迎えるにあたりお神札を新たにするのは、より新しいお力、より若々しい生命をいただこうとする日本人の心性に根差した習慣であり、先祖伝来の美風です。
太陽は日の神さまの象徴ともされ、とりわけ生成発展の「氣(き)」を感じさせる午前中の、東から南天昇りつめる太陽の光を尊び、神棚においても東や南を神々が向かわれる吉方としているためです。
今日では最長で五十日(親や子、配偶者の場合)を一応の「喪明(もあ)け」の目安とし、親密度により期間を考えればよろしいかと思います。そして、その間は神棚の前面を半紙など白紙で覆(おお)います。
喪明け後は家を清め、平常通りに神事を行うことができます。また、祝い事や祭事の参加も出来るようになります。尚、喪中と忌中(きちゅう)は本来別の意味ですが、今では同義とすることがあります。
アパートなので神棚を設けることができません。どういう扱いをすればよいでしょうか?
人間にとって祈ることは自然なことです。祈りは安心につながります。家庭を持てば、もっと守るものが増えます。そしてもっと目に見えないお力が必要となります。神棚はそのときにでも設ければよいでしょう。
最近は本格的な神棚[お神札を収める宮形(みやがた)]の他に、一人暮らしに最適な、場所をとらない壁掛け式の簡易神棚もありますので、氏神神社にお問い合せください。
お供えの仕方は、我国では古来より正中(せいちゅう)[中心線]を尊ぶため、神棚にお供えする際にも、図のように米を中央とし、次に酒、塩、水をお供えします。
米や酒など日常のお供えはもちろんですが、そのほか、季節の初物やいただきものなど珍しい食べ物も、神棚にお供えしてから家族でいただくように心掛けたいものです。
平成25年10月、第62回伊勢神宮式年遷宮の最大の重儀である「還御の儀」が、皇大神宮(内宮)、豊受大神宮(外宮)ともに厳かに斎行されました。
両正宮の還御に続き、荒祭宮と多賀宮をはじめ14ある別宮の還御も順次行われて、平成27年3月にはすべての別宮の還御が完遂しました。
新たな20年の時を刻み始めた、ご神威あふれる伊勢神宮にお参りしましょう。
写真提供:神宮司庁