生命の言葉

昭和天皇
風さゆる み冬は過ぎて
まちにまちし 八重桜咲く
春となりけり
― 昭和二十七年四月二十八日
 サンフランシスコ平和条約発効に際して

主権回復70周年を迎えて

昭和二十七年四月二十八日にサンフランシスコ平和条約が発効されました。これにより日本と連合国の戦争状態は終了し、領土領海における主権が認められ、独立を取り戻しました。この御製は平和条約発効の当日、宮内庁より発表された昭和天皇の御製五首のうちの一首です。
昭和天皇は後日、「万世のために太平を開かんと決意し、四国共同宣言(ポツダム宣言)を受諾して以来、年をけみすること七歳、米国を始め連合国の好意と国民不屈の努力とによって、ついにこの喜びの日を迎うることを得ました」と仰せになられました。
本年はこの年から七十年を迎えます。
昭和天皇のご研究
昭和天皇(一九〇一~一九八九)はご幼少のころから生物に興味をもたれ、特に変形菌類や植物、ヒドロ虫類についてのご研究により生物学の発展に大きく貢献されました。
昭和天皇は、ご自身で生物をご採集されるだけでなく、国内外から多くの標本の寄贈も受けられ、その数は六万点を超え、その多くは国立科学博物館に移管されています。またヒドロ虫類、那須や皇居の植物に関する本も出版なされご研究で多くのご成果を挙げられました。
入江相政元侍従長の『宮中侍従物語』によると、侍従等の「雑草を刈っています」という言葉を聞き「どんな植物でも皆名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草と決めつけてしまうのはいけない、注意するように」と話されたというエピソードが残っています。
また、上皇陛下の「ハゼの研究」や今上陛下の「水の研究」などご皇室の学術ご研究のご成果は学術論文として公にされています。
今月の祭日と祝日
【神武天皇祭(三日)】
皇霊殿と畝傍山東北陵(奈良県橿原市)で行われ、神武天皇の御霊をおまつりします。

【昭和の日(二十九日)】
明治三十四年に昭和天皇がお生まれになられた日で天皇のご遺徳を偲び祭日としました。