東京「鉄道沿線の神社を訪ねて」〜都電荒川線 編
飛鳥山
あすかやま
Asukayama
大塚駅前→
「飛鳥山」徒歩5分・「栄町」徒歩3
社前の左右に緑色(御衣黄)、薄桃色(福禄寿)の八重桜が咲くお宮
七社神社
【鎮座地】東京都北区西ヶ原2-11-1
飛鳥山公園に沿って歩けば見えてくる、七社神社の大鳥居
 「飛鳥山」の駅を下りると、江戸時代から桜の名所として親しまれてきた飛鳥山公園が、眼前にゆったりとした傾斜を描いています。その緑のふちに沿うように5分も歩くと、大鳥居と榎の木が見えてきます。榎は、日光御成道に築かれた「西ヶ原一里塚」(日本橋から2里目)史跡のシンボル。遠く江戸の暮らしが自然と思い浮かぶような穏やかな空気が、七社神社にはあります。
緑色、薄桃色、黄色。季節の彩りのなかで開かれる「七」にまつわる行事
 春には、御社殿前に美しく咲き誇る緑色と薄桃色の八重桜、夏から秋には、ご神木の大銀杏が萌えるような新緑、そして黄葉で出迎えてくれる七社神社では、社名にもある「七」にちなみ、さまざまな行事が行われています。たとえば毎年、七月七日の午後七時からの「七夕祈願祭」では、ライトアップされた境内で短冊に願い事を書いて、成就のご祈願を行っています。巫女さんによる美しい舞も奉納され、夏の涼やかな宵を楽しむことができます。
 また神社では毎日、御祭神へ供物が捧げられますが、そのうちの「御塩(みしお)」を毎月七日、朝七時からご希望の方にお配りするのも七社神社ならでは。ご神前に上がっていたありがたい塩は人気で、お清めやお料理などにご使用されているようです。
凛々しく子供を守り続ける「子守犬」と、愛らしい絵馬
 七社神社は、子宝・安産に御利益がある神社としても知られています。これは、伊邪那岐命・伊邪那美命を御祭神にいただいていることに由来しています。伊邪那岐命・伊邪那美命は、国生みを成し遂げ、その後多くの神々を生んだ夫婦神。その御神徳の子宝・安産をご祈願する方が多くいらっしゃいます。
 目をとめていただきたいのは、御社殿前の狛犬です(写真上)。こちらの狛犬は「子守犬」とも呼びならわされていて、向かって左の雌・右の雄ともに、ふところに小さな子犬を守るように抱くとても珍しいもので、なんともいえない愛らしさと凛々しさにあふれています。この子守り犬をモチーフにした絵馬が、ご神木の「願掛公孫樹(がんかけいちょう)」のまわりに結わえられ、多くの人の祈りを見守っています(写真下)。銀杏はご存知の通り多くの実をつけることから、子宝の象徴とされる樹木。二重にご利益がありそうで、うれしくなりますね。
 また、境内の入り口そばには、子を宿した妊婦さんのようにふっくらと節のふくれた椎の木もあり、こちらも子宝・安産のご利益があるといわれています。
人々に寄り添い、暮らしを見守る「鎮守の神様」
 二月三日の節分祭には、子供たちの歓声が明るく境内をこだまします。その日は御社殿と舞殿の間に長い桟橋が渡され、境内は大がかりな舞台に様変わり。福男・福女におどけた鬼まで登場し、にぎやかに豆まきが行われ、昔ながらの節分風景に心が温まります。
 九月、秋分の日とその前日に行われる例祭では、里神楽が奉演され、町内神輿の渡御が行われます。また参道から境内へかけて露店がずらりと並ぶのも、七社神社の風物詩。色とりどりの露店は60~70 軒ほどあり、子供たちにとってうれしい一日です。また、七五三のときには舞殿に上がって、お祝いに趣を添える記念写真を撮ることができるほか、お正月には羽根つきやけん玉、コマやお手玉など、昔懐かしい遊びを楽しんでもらえるよう、道具がそろえてあったりも。
 七社神社は西ヶ原・栄町の総鎮守として、今日もやさしく、暮らしに、人々に寄り添っています。
「飛鳥山」の学べる・楽しめるスポット
飛鳥山公園
東京都北区王子1-1-3
渋沢史料館
東京都北区西ヶ原2-16-1
北区飛鳥山博物館
東京都北区王子1-1-3
紙の博物館
東京都北区王子1-1-3